Columジャパニーズ・インディゴ・レザーへの熱い想い。

前例がないからこそトライする価値がある。

革と言われて真っ先に思い浮かぶ色。一般的にはやはり茶系や黒なのかもしれません。その固定観念を変えたいと思ったのが、染革作家になるひとつのきっかけになったという原田氏。中でも日本の伝統工芸や文化を調べていく中で、藍染との出会いがその想いを深めることになったようです。やがて日本のありとあらゆる藍染産地を回り、さらにさまざまな書物やインターネットで藍染についての造詣を深めていったそうです。でもそれらはすべて糸や布に染めることを目的としたものばかり。と原田氏。「前例がないからこそ、やる価値がある」と信じ、藍染革の研究に入り込み、試行錯誤の日々がスタートしました。目指したものは、経年変化が楽しめるジーンズのような風合い。まっさらな状態から使い込んでいくほどに味わいが増していく。使う人によってもさまざまな表情に変化する。愛着がさらに湧いてくるレザーアイテム。そうした熱い想いは、頑なな意志とたゆまぬ努力によって、いつしか現実のものになりました。

原田賢一氏 プロフィール

試行錯誤の末にたどり着いた独自の技法で、革にかつてない深みのある藍を生み出した染革作家。
日本の美や伝統の技を生かした藍染革を日々探求し続けています。現在〈enku(エンクウ)〉を主宰。
ちなみに〈enku(エンクウ)〉の由来は、広く美しい空と、世界中の人々とのご縁を込めてenku(縁空)と名づけたそうです。

そんな原田氏が生み出した代表的な藍染の技法をご紹介しましょう。

  • 数多(amata)
    古くからある、撒き蝋(蝋を熱で溶かしてブラシなどで撒いてゆく)という技法から発展させたオリジナルの技法です。撒き蝋を施した革に藍染を行うもので、蝋が付着している部分は防染となり、そこでは染まらずに点となって残ります。まるで満天の星空のような雰囲気を持つレザーに仕上がります。
  • 江戸墨縞(edosumishima)
    江戸時代の浮世絵や版画などにみられる縞模様。現在でも歌舞伎や着物でも伝統的な縞模様を見ることができます。そんな粋な縞模様を、本物の墨技法を用いて、刷毛を使って出していきます。材料は松煙と膠(にかわ)を混ぜ合わせて作る天然墨です。
  • 天藍(tenai)
    空と宇宙の限りなく広く澄んだ世界。そんな広く美しい成層圏を藍染で表現しました。数種類の濃さの違う藍染液で、段階的に染めていきます。きれいなグラデーションを出すことは難しく、手仕事ならではの根気と集中力が要求されます。
  • 蒅藍(sukumoai)
    藍草を刈り取って乾燥させ、これに水を加えながら湿らせて、腐葉土のような団子状の塊にしたものを蒅(スクモ)といいます。年々藍草の作り手が減ってしまい、良質な蒅を入手することが困難になりつつあります。天然本藍染めならではの色合いや肌触りなど、独特の存在感をご堪能ください。