森の京都で育まれた、
表情豊かな器たち

 清水六兵衛氏に師事、その後、宇治・朝日窯で修業。現在、京都府亀岡にて独立し未流窯を開窯した陶芸家の吉井史郎さんに、作品への想いなどについてお話していただきました。

 「今回の作品の斑釉(まだらゆう)片口鉢は自分で調合し、わらの灰や木の灰などで独特な色合いを表現しています。玄釉(くろゆう)ぐい呑みは代表作ともいえる黒釉薬で仕上げた器です。赤土系統が多い亀岡の土を使用し、艶やかで渋い黒の存在感にこだわりました。また、安南ワインカップはあえて釉薬をにじませ、草花、風景をイメージしてデザインし、味わい深い表情に仕上げています」
独特な色味と風合いを醸し出し、毎日の食卓に贅を尽くしたゆとりと趣を与えてくれる吉井さんがうみだす作品は、亀岡市にある自宅兼窯で作られています。そこは森の京都を代表するかのような、木々に囲まれ緑であふれており、鳥の声や風のそよめき、自然に満たされ心も落ち着く場所です。また、亀岡付近は平安時代を代表する一大窯跡群があったと言われています。

「土は主に亀岡で採取した土を使っています。土の採取から作陶まで一から自分で手掛けたいと思い、すべて自分で行っています。土の混ぜ方や扱いは、作品に大きく影響します。亀岡付近は、篠窯跡群とよばれる一大窯跡群があり、平安京への焼き物の供給地としても栄えていました。その亀岡で採取してきた赤土を水簸(すいひ)し、その特徴をいかしながら作陶しています。登り窯も自身の作陶環境に合わせて再構築しました」

 轆轤(ろくろ)捌きをする吉井さんのお姿は、作品に対する想い、愛情で満ちあふれていながらも、落ち着きがあり、そして力強さも感じました。そのお気持ちが吉井さんの作品に投影されていることが伺えます。鍛錬された轆轤(ろくろ)捌きに裏打ちされた、味わい深い器の数々をご覧ください。

吉井史郎

左:しっとりとした深い色合いの玄釉が渋い魅力を放つ一品。お酒を注ぐと透明感が際立ちます。
玄釉(くろゆう)ぐい呑み各種 5点限り 14,040円_横9.5×高さ4cm

中:にじんだ釉薬が味わい深いワインカップ。草花、風景をイメージしてデザインしました。
安南ワインカップ各種 5点限り 6,480円_横7×高さ12cm

右:地元亀岡の赤土を使った片口。赤土に含まれる鉄分に反応した独特の色味と風合いが特徴です。
斑釉(まだらゆう)片口鉢各種 5点限り 16,200円_横20×高さ6.5cm
7階 催物会場

吉井史郎 PROFILE

1955年生まれ。6代・7代清水六兵衛に師事し、宇治・朝日焼きにて修行の後、亀岡にて独立。登り窯を焚ける環境にあり、安南手、灰釉、天目など本物を目指し、さまざまな種類の焼き物を作成。また、各地で個展を開催。

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